【Houdini16.5基礎編】22.映画とTVにおけるパイプライン


 今回の記事はHoudiniを用いたパイプライン、特に映画とTVにおけるものについての概要の紹介になります。

 CGを映像作品においてどのように利用しているかに関わらず、映画やテレビなどの映像制作プロジェクトの最終目標は動画を作成することです。 これらを構成する画像は、異なる種類のアセットが集まったパイプラインを使用して作成されます。

 Houdiniは映画&TVのパイプラインのすべてのステージに貢献する、フル機能のパッケージです。 モデリングからレンダリング、アニメーション、コンポジットまで、Houdiniにはプロシージャルツールが用意されています。

 Houdiniは現状VFXツールとして有名ではありますが、プロシージャルモデリング、ライティング、キャラクターワークなどの他の分野においても、スタジオからの要求が高まるにつれて、Houdiniを用いて作業を行うアーティストが生まれつつあります。

HOUDINI CORE と HOUDINI FX

 パイプラインで使用するHoudiniの商用バージョンは2つあります。 Houdini Coreはダイナミクスを除くすべてのHoudiniツールをカバーし、Houdini FXはダイナミクスを含めたフルツールセットを備えています。 Houdini FXで作成されたシーンやVFXは、Houdini Coreでステージング、アニメーション、ライティング、レンダリングが可能です。 これにより、FXアーティストの皆様のためのHoudini FXライセンスと、それ以外の皆様のためのHoudini Coreライセンスとの堅牢なパイプラインが実現します。 ここで、上級テクニカルディレクターがHoudini FXを使用して制作上の課題を解決し、その結果のノードとネットワークをHoudini Digital Assetsにまとめることができると、 アーティストとって扱いやすいUIが作成されることで、アニメーターとVFXアーティストをサポートします。また、結果をHDAにまとめることで、費用効果の高いHoudini Coreを使用してショットを実行することができます。

相互運用性

 多くのスタジオでは、パイプラインによって統合された3Dアプリケーションが導入されています。 Houdiniには、パイプライン上でのデータの受け渡しを容易にする強力な相互運用ツールが多数あります。 皆様がAlembic、FBX、EXRなど、どのようなファイル形式を使用していても、アーティストはさまざまなDCCアプリケーションを利用して簡単に作業することができます。 また、Houdini Engineプラグインを使用して、HoudiniデジタルアセットをMayaやC4Dなどの他のアプリに持ち込んで、アセットのプロシージャルコントロールを維持することもできます。

 小規模のスタジオは特に締め切りがタイトであることが多いためか、極力ファイル受け渡しなどの雑事は避けたいかと思われます。Houdiniはプロジェクトのすべてのパイプを包括するフル機能のプロシージャル「パイプライン・イン・ボックス」を提供しており、容易なパイプライン構築が可能です。

ディストリビューションレンダリングとシミュレーション

 レンダリングやVFXシミュレーション、特に、フォトリアルな映像を必要とする場合には多大な時間を必要とすることがよくあります。 このため、Houdiniではレンダリングタスクやシミュレーションタスクを、単一のコンピュータよりもはるかに高速に処理を実行できるレンダリングファームに送信、分配することができます。

 分散シミュレーションでは、コンピュータ上のメモリを最大限に活用する複雑なエフェクトを処理することもできます。シミュレーションを分割して配布することで、結果を損なうことなく高速にシミュレーションを行うことができます。