Houdini14新機能~ダイナミクス~


新しいパーティクル粒

  • Houdini 14では、VEXで実装された新しいPosition-Based Dynamics(PBD)POP Grainsソルバが含まれています。 これは、特に砂のような粒状の材質のシミュレーションに適しています。
  • 非常に素晴らしい堆積の挙動。

H14Dynamicscastle

  • Clumping(凝集)によって湿った砂やセメントのシミュレーションが可能です。

H14Dynamicsupressandafter

  • プリミティブとして表現された明示コンストレイントによって、セットアップと制御が簡単です。 崩れかけた砂と引きちぎれそうな鎖やシートや固体物のシミュレーションが可能です。

H14Dynamicsbacon

  • 剛性ボディとの一方向の作用。

H14Dynamicsgranularsheet

  • 高い制御性。
  • 異なる材料特性を持つパーティクル間での安定した相互作用。
  • OpenCLを使用したGPUアクセラレーションをサポートしています。これにより通常では2-5倍高速化されます。一部の機能はOpenCLパスでサポートされていません。 詳細は、POP Grainsのドキュメントを参照してください。

Bulletソルバ

  • 多くの部分で大幅にパフォーマンスが改良されました。色々な状況下でシミュレーションが10-20倍に高速化されています。
    • 衝突検出がマルチスレッド化されました。
    • 大規模オブジェクトとのシミュレーションに対して改良されたスケーラビリティ。
    • Convex(凸)ハルの計算が約2倍高速化されました。
    • 大量に初期段階で相互貫通または近接したパックオブジェクトとのシミュレーションに対するパフォーマンスが改良されました。
  • Bulletソルバは、アニメーションまたは変形するジオメトリを持つパックプリミティブに対応しました。 RBD Packed Objectノードの Create Active Objects トグルは Initial Object Type パラメータに変わり、 このパラメータを使うことでactive, animated, deformingPointアトリビュートの初期値を設定することができます。
  • サブステップ時の動的オブジェクトの補間が改良されました。
  • 強いDrag(抵抗)フォースの安定性が改良されました。 Bulletソルバは、サブステップ毎にフォースを再評価するので、ソルバのサブステップ数(DOP Networkのサブステップではなく)を上げると、結果がより安定するようになりました。
  • 新しい Constraint force mixing パラメータは、コンストレイントのデフォルトのCFM値を制御します。
  • RBD Glue Objectシェルフツールが追加されました。このツールは、RBD Packed Object DOPまたはRBD Fractured Object DOPと共にGlue Constraintネットワークを作成します。
  • Bulletソルバは、Collisionリレーションシップを持たないDOPオブジェクト間の拘束に対応しました。
  • speedmin, speedmax, spinmin, spinmax Pointアトリビュートを使えば、オブジェクトの線形Velocityや角速度を制限することができます。POP Speed Limitノードを使えば、それらのアトリビュートをセットアップすることができます。
  • collisionignore Pointアトリビュートを使えば、特定のDOPオブジェクトや(collisiongroup Pointアトリビュートの値を使って)パックプリミティブのグループに対して衝突を無効にすることができます。 このアトリビュートは、POP Collision Ignoreノードによって生成することができます。
  • dead Pointアトリビュートを使えば、ソルバが起動した時に削除するオブジェクトをマークすることができます。 このアトリビュートは、POP Killノードによって生成することができます。
  • RBD Packed Objectノードに Overwrite Attributes from SOP パラメータが追加されました。 このパラメータには、フレーム毎にソースSOPジオメトリから取得するPointアトリビュートのリストを指定します。
  • BulletソルバとHard Constraint Relationshipノードに接触拘束とピン拘束の柔らかさを制御するパラメータが追加されました。
  • RBD Packed ObjectsのBullet Dataパラメータすべてを、それらのパラメータと同じ名前のPointアトリビュートで上書きすることができます(例えば、bullet_georepを使えば、オブジェクト毎に別々の衝突形状を指定することができます)。
  • Bulletソルバは、pointinstancetransform Intrinsicが有効になったパックプリミティブに対応しました。
  • Bulletソルバは、接着ボンドが外れた時にFeedback Impactを考慮します。
  • Bulletオブジェクトは、布、ソリッド、ワイヤーのオブジェクトを含むいくつかのタイプのアフェクターと衝突することができます。
  • RBD Packed ObjectsのPアトリビュートを変更すると、正しくオブジェクトを移動させます。transアトリビュートはもはや使いません。
  • Bulletソルバは、“geometry representation”がconcave(凹)の時または“create convex hull”が有効な時にキャプチャー領域から衝突形状を構築することができるようになりました。

FLIP

  • 変形サーフェスとの衝突が改良されました。
  • 粘度の処理が高速高精度化されました(GPUサポートで5倍高速化)。
  • ディテールを失なうことなく流体ボリュームをより滑らかにします。
  • OpenVDB 3.0によって、高解像度で疎らな流体構成のスケーラビリティが良くなりました。
  • 可視化がデフォルトでスプライトからパーティクルになりました。
  • Reseeding時により滑らかな飛沫が可能になりました。
  • Whitewater Sourceジオメトリノードに Cache タブが追加されました。これはアトリビュートのマッピング前でポイントの間引きとサンプリングの後に対象となるポイントをディスクへ保存することができ、大きなシミュレーションに対して放出基準の微調整を高速化することができます。また、シミュレーションボリュームのみに対する2番目の入力と、 Output points only オプションがあり、パーティクルとボリュームを別々に保存することができます。
  • 改良されたWhitewater: より豊かな泡沫と分布。
  • 極端なスケールの堅牢なハンドリング。
  • Points from VolumeSOPとParticle Fluid TankSOPは、新しいScatterSOPの機能を利用して、その Relax iterations パラメータが使えるようになっています。 これにより、FLIPシミュレーションでより平坦な表面の作成が可能です。
  • FLIPツールの可視化がスプライトの代わりにパーティクルがデフォルトになりました。
  • FlIPソルバのReseedingには、新しい Random seed パラメータがあり、時間軸で変化するランダム関数を使用することで新しいポイントポジションを生成します。これはパーティクル分布における筋の発生が起こりえるバグを修復します。
  • FLIPソルバには、動かなくなったパーティクルを削除するための Kill unmoveable particles オプションがあります。
  • FLIPソルバの Smoothing パラメータが Velocity smoothing に変わり、デフォルト値が0.3から0.1に変わりました。
  • Whitewater Emitterのパーティクル発生のデフォルトは、余分な飛沫が出ないように変更されました。 Velocity offset を上げることで、以前のバージョンと同様の飛沫を表現することができます。

Solids/FEM/Cloth

  • シミュレーションが2-3倍高速化されました。
  • メモリ使用量が10-15倍小さくなりました。
  • Solid Objectノードに Initialize behavior パラメータがあり、そこには“rubber”, “organic tissue”, “oak wood”, “cork”などの材質プリセットのメニューがあります。
  • Finite Elementソルバで組み込みワークフローが改良されました
    • Cloth ObjectとSolid Objectの両方に対して動作します。
    • ポリゴンの直接的な組み込みに対応しました。
    • 組み込みポジションは、重心的ではなく滑らかです。
    • 破片がシミュレーションされるメッシュからはみ出していても、Embeddingが動作します。
    • 組み込まれたポリゴンと四面体がシミュレーションされるジオメトリと一緒に破壊されます。
    • 初期整列は頂点毎に指定されます。
    • シミュレーションされるジオメトリ内の繋がったコンポーネントを考慮します。
    • 組み込まれたジオメトリにVelocity Pointアトリビュートを書き込みます。
    • 組み込まれたジオメトリ内の破片部分とシミュレーションされるジオメトリ内の破片部分とのマッチングをサポートしています。これはどちらにもfracturepartアトリビュートを必要とします。
  • Finite Elementソルバは破壊用のサブステップをサポートしています。
  • Finite Elementソルバは、restPアトリビュートのRest Stateを保存して、Mantraのrestアトリビュートとの干渉を回避します。
  • 破壊の挙動が良くなりました。
  • Finite Elementソルバは、ポリゴン(Cloth)と四面体(Solid)の両方に対して、エネルギーとエネルギー散逸密度を含む頂点アトリビュートを追加することができます。 これは副次的な効果と可視化を容易に追加することができます。
  • Finite Elementソルバは、qualityPrimitiveアトリビュートを四面体に追加することができます。 このアトリビュートは、その四面体がシミュレーションにどのように適合できるかを意味します。 このアトリビュートを可視化することで、メッシュ内の問題箇所を発見することができます。
  • Solid Objectシェルフツールは、シャープなエッジを持つソースジオメトリに対してより良い四面体メッシュを作成します。
  • Finite Elementソルバは、fracturecount頂点アトリビュートを保持します。このアトリビュートは、ソルバが他の頂点から頂点を破壊した回数です。
  • Solidオブジェクト内の四面体の大きな変形が、より堅牢になりました。
  • Cloth Object用の平面的なフォースモデルは、Solid Objectと一致します。
  • 薄いサーフェスに対するFEMシミュレーションでは、薄い層の四面体を作成する必要なくポリゴンを直接シミュレーションすることができます(Strong Bendモデルを使用)。

煙と炎

  • Gas Curve Forceノードは煙をカーブに沿わせることができるので、非常にかっこいい効果を表現することができます。
  • Pyro SHOPのパラメータの順番が変わりました( Noise output type  Space のパラメータが入れ替わっています)。
  • Gas Substepノードには、フレーム毎にCFL Conditionを評価するオプションと最大サブステップへ量子化するオプションが新しく追加されました。
  • Gas Advectノードは、より高次元な移流メソッドのTrace RK3とTrace RK4に対応しました。 FLIPソルバは、ほぼ同じ速度でより精度の高い移流をするために、内部的により高いデフォルトのParticle Advection CFLの値を0.75にしてRK3に切り替えました。
  • Gas Advect CLノードがTrace Midpoint, Trace RK3, Trace RK4のメソッドに対応しました。 デフォルトのTrace advection kernelは、自動的にIntel OpenCL 2014ドライバによってアクセラレーションされ、PyroとSmokeのソルバのパフォーマンスが約20%速くなります。
  • Vortextフィラメントのシミュレーション用のノードがいくつか追加されました。これらのノードは煙草の煙などの効果に使用することができます。
  • Gas Viscosityソルバが最適化され、32または64ビットの精度を指定するパラメータが新しく追加され、OpenCLに対応しました。
  • Gas Advect FieldノードとSmokeソルバとPyroソルバのAdvection(移流)制御に Blend パラメータが追加されました。

パーティクル

  • Look At POPに、Dragを追加する必要のないようにフォースベースのSpinモード用に新しく Treat as wind オプションが追加されました。 新しいReference direction  Reference up には、整列するオリジナルのパーティクルフレームを指定することができます。
  • 新しいPOP SpinとPOP Velocityのノードは、それらと同等のWrangleを記述するよりも便利です。
  • 新しいSpin by Volumes POPは、Velocityフィールドの渦巻きの度合いに基づいてパーティクルをスピンさせます。
  • 新しいFloat by Volumes POPは、液体シミュレーションの出力内に軽量の浮遊パーティクルを生成します。
  • POP Solverは、POP collision detectと同じ方法で衝突を計算するようになりました。 これは若干遅くなりますが、hitnmlアトリビュートが正しいことを保証します。これは、パーティクルがサーフェス上を滑り始めた時の跳ね返りを回避します。
  • パーティクルとの衝突検出は、pscaleを砂と一致した半径として扱います。
  • POP Sourceノードを書き換えました。
  • POP Solverにレスポンスを制限するためのグループフィールドが追加されまsちあ。
  • POP Solverがclingアトリビュートに対応しました。このアトリビュートは、POP property DOPを使用することで設定することができます。
  • POP Replicateの Inherit velocity パラメータにマイナス値を指定できるようになりました。
  • パーティクルとパックプリミティブ間のジオメトリベースの衝突に対応しました。
  • hittotalは、パフォーマンスを良くするために、Impactの回数ではなくサブステップ毎に1回だけ増分されるようになりました。
  • 滑るパーティクルや停止したパーティクルは、GAS Integratorの衝突に考慮されなくなりました。
  • 古い/partネットワークは、ユーザーインターフェースから非表示になりました。

Wire

  • WireソルバがFracture(破壊)に対応しました。
  • 大きなPOP DragフォースをWireオブジェクトに加えた時のWireソルバでのパフォーマンスが改良されました。
  • Wire Objectは、Cloth SolverとFinite Element Solverに、より一致するように再構築され、すべてのソルバと動作するようにツールの開発が簡単になりました。
  • Wireソルバは、ジオメトリ上のアトリビュートを使用することで、ターゲット形状を指定できるようになりました。 フレーム毎にそのアトリビュートを更新するには、Wire Objectノードの Import target geometry を有効にしてください。

全般

  • キャッシュ化されているフレームをタイムラインでカラー表示します。青は、フレームがメモリ内にキャッシュ化されていることを意味します。 紫は、フレームが.simファイルから再生されていることを意味します。オレンジは、メモリ内にキャッシュ化されたフレームが古くて、再シミュレーションする必要があることを意味します。

H14Dynamicsplaybar_cache

  • DOP Networkは、Outputノードで終了するようになりました。つまり、これまでユーザーを混同させていたディスプレイノードフラグの使用を変更しました。 とはいえ、そのフラグはオレンジの“output”フラグとして今でも利用可能です。Outputフラグのノードは、オレンジのインジケータリングを持ちます。
  • 現行シミュレーションは、右下にあるResimulateメニューボタンの隣で独自メニューになりました。 ResimulateボタンをShiftクリックすることで、古いシミュレーションをリセットすることができます。 Ctrlクリックすることで、Houdiniがリセットする必要のないシミュレーションまでも、つまりすべてのシミュレーションをリセットします。
  • 部分的キャッシュの開放が賢くなりました。
  • DOP Networkを“playback-only”に設定することができます。
  • ビューポート内でのSDF表示のメモリ使用量が少なくなりました。
  • Geometry ROP, Dynamics ROP, Output DOPに Background render オプションが追加され、別のhbatchプロセスでレンダリングを起動することができます。バックグラウンド処理は、Houdiniのレンダースケジューラに表示されます。
  • Data Only Once DOPのみが、ネットワークがデータ/ソルバに接続するパスの数に関係なく、オブジェクトに一度だけデータ/ソルバを取り付けます。これにより、特定のDOPネットワークトポロジーの処理を高速化することができます。
  • 新しいBlosc圧縮のシミュレーションファイル(.sim.sc)は、GZIPよりも 高速 です。
  • Gasマイクロソルバがより詳細なパフォーマンスモニタのイベントを持つようになり、FLIPとPyroのシミュレーションのパフォーマンストラッキングが良くなりました。
  • DOPノードを右クリックして Spreadsheet を選択すると、そのノードのリレーションシップに対して詳細ビューを開くことができるようになりました。
  • File DOPとFile Data DOPに、ファイルを書き出す時の中間ディレクトリを作成するオプションが追加されました。
  • ステータスバー内のDOPクッキングメッセージは、シミュレーションフレームではなく、グローバルフレームを使用するようになりました。 これは、サブステップがある時やフレーム1の後でシミュレーションを開始する時の混同が減ります。
  • Static Object DOPには、ソースジオメトリのグループを指定するパラメータと、ソルバサブステップでソースネットワークを強制的に再クックするパラメータがあります。
  • SOP Geometry DOPの Primitive Group パラメータにアドホック(一時的)な数値またはアトリビュートのグループを指定することができます。
  • Merge DOPをバイパスにすることで、1番目の入力のみが通過します。
  • Details Viewの呼び名が統一され、Geometry Spreadsheetになりました。

他の変更と改良点

  • 新しいSOP Solverをチェーン化できるようになりました。 このノードの入力は単一の複数入力接続であり、灰色の入力になっていて、ワイヤーの接続と再接続が簡単になりました(古いバージョンの利用は、ノードのバージョニングで利用可能です。)
  • RBD Object, RBD Stateと他のノードは、 Inherit velocity がオンの時に適切に Velocity  Angular Velocity のパラメータを無効にします。
  • Rigid Body Solverノードは、メインのソルバステップの前後で起動するマイクロソルバ(例えば、SOP SolverやPOPフォース)用の入力があります。
  • RBD Packed Objectノードは、フレーム毎にソースジオメトリからアトリビュートのリストを取得するオプションがあります。 これにより、例えばStaticオブジェクトとActiveオブジェクト間の推移といったよくある状況で、SOP SolverとWranglesの必要性を減らします。
  • Glue Cluster SOPは、Constraint Network DOPで必要なアトリビュートすべてを作成します。
  • Constraint Networkは、オブジェクトまでのフルパス(例えば、object2/piece3)を使用することで、同じ名前の破片の持つ複数のRBD Packed Objects間の名前の干渉を避けることができます。 DOP Import SOPの Use Full Path to Object をオンにしてください。これは、Glue Adjacentシェルフツールで作成されたネットワークではデフォルトで有効になります。
  • Bulletソルバは、ピン拘束用のrestlengthアトリビュートを認識するようになりました。これは、スプリング拘束でも同じ挙動をします。
  • Constraint Network用の新しいサンプルファイルが追加されました。
  • Constraint Networkは、orientPointアトリビュートを使用することで、rアトリビュートによるオイラー角ではなく、クォータニオンを使用して、アンカーの初期の向きを指定することができるようになりました。
  • Constraint Networkノードに、 Use object transform チェックボックスが追加されました。
  • Cloth Create Seam, Cloth Match Panels, Cloth Match Seams, Cloth Refineは、現在では単に非表示になったのではなく削除されました。