RBD Material Fracture SOP その3(Wood編)


今回は前回の「RBD Material Fracture SOP その2(Glass編)」に引き続き3回目として、RBD Material Fractureノードの説明をしていきたいと思います。今回は「Wood」の機能について紹介致します。

 

ノードの解説

これまでの記事と同様に、まず最初にMaterial Typeを「Wood」に設定します。そうすることで、ノードに接続されたモデルを木材のように分割することができます。

Woodのデフォルトの設定で、木目の方向はエッジの長さによって決まります。

 

▼Guide Geometryについての説明

Woodでは使用頻度が上がると思われますので、ここでGuide Geometryについて紹介致します。Guide Geometryパラメータは、RBD Material Fractureノードで作成される破片の状態を確認するために、様々な表示方法に切り替えることができます。Concrete、Glass、Woodのどのタイプでも選択できる共通の項目と、それぞれのタイプ向けの固有の項目があります。

Material TypeがWoodの場合、こちらのパラメータでは、以下の項目が選択可能です。

それぞれの表示結果は以下の通りです。

None

ガイドジオメトリはありません。

Fractured Geometry

粉砕されているグループをハイライト表示します。

Grains

木目の(縦方向の)断面を表示します。

Cuts

切れ目の(横方向の)断面を表示します。

Splinters

横方向の裂け目の断面を表示します。

Constraint Network

コンストレイントネットワークを表示します。

木材の縦方向、横方向のそれぞれの断面の形状は、Noneの状態のままでは少し確認しづらいため、こちらの設定を活用することをお勧めします。

 

▼Fracture per Piece

Glassと同様に、単一ではない分離しているモデルに対して、それぞれに個別の分割を適用することができます。

以下の画像の左が適用前の結果で、右が適用後の結果です。事前に用意したパーツ毎に分割が行われていることが確認できます。

適用前

適用後

 

▼Grainタブ

このタブでは木材の木目(縦方向の亀裂)を制御することができます。Guide GeometryをGrainsに設定すると、変更した結果の確認が行いやすくなります。

・Grain Spacing
木目の間隔を制御することができます。値を小さくすると、木目が細かくなります。以下の左の画像は値が0.072、右の画像は値が0.5のときの結果です。

・Grain Offset
木目毎にランダムに適用されるオフセットの量を設定することができます。

・Height
高さ(木目の波打ち具合の調整)の設定ができます。値を大きくすると大きく波打つようになります。以下の左の画像が0.5、右の画像が2に設定したときの結果です。

・Element Size 
ノイズのピークの間隔を設定します。大きくすることによって、木目にノイズを使用した緩やかな曲線を追加することができます。小さくすると細かいノイズが木目に入るようになります。

・Grain Detail Size
断面に使用するポリゴンサイズを決定します。小さくすることで、よりディテールの多い分割が可能になります。

 

▼Cutタブ

このタブでは木材の切断面(横方向の割れ目)を制御することができます。Guide GeometryをCuts、もしくはSplintersに設定すると、変更した結果の確認が行いやすくなります。

・Cut Spacing
横方向の木材が割れる間隔を制御することができます。値を小さくすると、パーツを細かく横方向に分割できます。以下の左の画像は値が0.5、右の画像は値が1の時の結果です。Guide GeometryはCutsを選択しています。

・Cut Offset
切断面毎にランダムに適用されるオフセットの量を設定することができます。

・Height
高さ(切断面の波打ち具合)の設定ができます。値を大きくすると、切断面は大きく波打つようになります。以下の左は値を0.5に、右は値を2に設定したときの結果画像です。

・Element Size
横方向の切り目にかかるノイズのピークの間隔を設定します。

・Splinter Density
切断面の粗さを調整します。数値が小さい場合は、切断面の形状が単純になるため、断面が直線状になります。値を大きくすることで、断面をギザギザにすることができます。こちらの値は、Guide GeometryのCutsとSplintersのどちらでも変更結果を確認することができます。

・Splinter Length
裂け目毎の高さを調整できます。数値を上げることにより断面の凹凸がさらに鋭くなります。数値を小さくすると直線状になります。Heightと、Splinter Lengthの両方が0のとき、横方向の切断面は平面になります。こちらの値はGuide GeometryをSplintersにすることで、断面の形状を確認できます。

 

▼Detailタブ

Use Convex Decompositionにチェックを入れることで、Convex Decomposition  ノードを使用して、高解像度の破片からプロキシジオメトリを作成することが可能となります。

 

▼Clusterタブ

このタブではクラスターの設定を行えます。

Enable Clusterにチェックを入れることにより、クラスターが作成されます。さらに、その横のピンマークをクリックすることで、以下の画像のように、クラスター毎に色を変えて表示できます。

・Cluster Typeには、以下の項目が用意されています。
Combine Pieces
Name Primitiveアトリビュート単位でクラスタを作成します。
Group Constraints
プリミティブグループをコンストレイントジオメトリに追加することで、クラスター間のコンストレイント、クラスター内の破片のコンストレイントをそれぞれ識別することが可能になります。こちらで追加されるコンストレイントジオメトリのグループと、RBD Constraint Propertiesノードを組み合わせることで、コンストレイントをさらに細かく設定することができるようになります。

以下は、RBD Constraint Propertiesノードで選択できるグループのリストを比較したものです。左がCluster Typeで「Combine Pieces」を選択した場合、右が「Group Constraints」を選択した場合の結果画像です。

ご覧の通り、Group Constraintsを選択している場合は、コンストレイントを設定することができるグループとして、クラスターに関するグループが含まれるようになります。

・Offset
クラスターのオフセット量を設定することができます。

・Jitter
ノイズの微震量を調整することができます。これは-1から1までの間のみが有効で、それ以外の数値になった際には上限もしくは下限の状態に設定されます。

・Size
クラスターのサイズを設定することができます。数値を大きくすることによりクラスターを大きくすることができます。左の画像は各数値が0.5、右の画像は各数値が3の時の結果です。

・Random Detach
有効にすることにより、以下の右の画像のように、ランダムでクラスターから破片を分離させることができます。

・Detach Ratio
特定の破片が分離する確率の設定ができます。

・Detach Seed
ランダムな破片の分離に用いられるシード値の設定ができます。

 

▼Constraintsタブ

基本的な使い方は「Concrete」、「Glass」と同じです。

・Grain Strength
木目の接着強度を設定することができます。

・Cut Strength
横の割れ目の接着強度を設定することができます。

 

以上がRBD Material Fractureノードの「木材」に関しての説明になります。次回の記事では、これまで紹介してきた各素材を組み込んだモデルについて紹介致します。

 

こちらの記事で利用しました.hipファイルは、こちらのURLよりダウンロードが可能です。ダウンロードにはインディゾーンHoudini AUPユーザーの方に配布しております、パスワードが必要になりますので予めご了承ください。