What’s New in Houdini17


現地時間2018年10月10日にHoudini17がリリースされました。

この記事ではHoudini17の新機能について、簡単に紹介させていただきます。

インディゾーンHoudini17製品ページ

概要

 Houdini 17 Bansheeは、Vellumマルチソルバによる高速クロス、新ホワイトウォーターソルバ、マテリアル (素材) ベースの破壊ワークフローなど、強力な新しい物理シミュレーションツールを搭載しました。

 さらに、インタラクティブなモデリングやプロシージャルUVツール、地形侵食モデル、キャラクタリギングとアニメーション、新Houdini Engine 3DS Maxプラグインなど、大幅に強化された機能が搭載されています。

主要 5 大機能

  • 新 Vellum マルチソルバは、 (nCloth同等またはそれ以上の) 高速なクロス、ヘア、ソフトボディ、粒子(grain)などのエフェクトのシミュレーションを統合します。VellumソルバはGPUで高速化されており、セットアップと繰り返しを非常に容易にしています。
  • White Water ソルバが書き換えられ、写実的なセルパターンや反発力、FLIPのソースシミュレーションと正確な関係を保つことで、有機的で泡立つようなルックを実現しています。
  • コンクリート、ガラス、木材といった素材を元にしたマテリアルベースの破砕ツールと、システム全体の結合を可能にするコンストレインネットワークを自動的に構築することで、破砕ショットのセットアップと演出が容易になります。
  • Terrainには、河道法線、川岸、瓦礫などのディテールの精密な制御を可能にする高度な浸食ツールや、オブジェクトをより効果的に景観に配置するための新しい階層的散布が含まれました。
  • 新UVツールにより、シームの自動生成、正確な平坦化、それに対する超効率的なレイアウトまでの完全なUVプロシージャルワークフローを定義します。

 

その他の主要機能

  • 新Retime SOPによって、流体やRBDシミュレーション、そしてボリュームなども効果的な補間とブレンドオプションにより、結果をクリーンかつ完全に写実的に伸張させたり短縮させてたりすることができるようになりました。
  • インタラクティブモデリングには、「Topo Build」を元にした新PolyDrawツールによって、参照ジオメトリがない場所でのインタラクティブなポリゴン生成、迅速なコンストラクションプレーンの角度と位置決め、回転スナップ、 ビューおよびコンストラクションプレーンのブックマーク、新しいジオメトリアラインメントツールなどが追加されました。
  • キャラクターアニメーション&リギングでは、アニメータにより使い易いキーフレームワークフローを提供する、新しいデザインのタイムラインと、上半身から下半身まで完全な自動リギングをサポートするフルボディIKと、フェイシャルオートリギングツールをサポートしました。
  • Houdini Engineでは、新 3DS Max プラグイン、Unityプラグイン 2.0、MayaおよびUE4プラグインでの重要な機能強化などにより、多様性が向上しました。
  • ”3D の JPEG” とも呼ばれるGLTFの入出力に対応しました。これはゲーム開発コミュニティからのフィードバックに基づいたもので、効率的で相互運用可能なアセット配信フォーマットにより3Dシーンのサイズを圧縮、ランタイム処理を最小限に抑えます。

 

General

ネットワークエディタ

・New Edit -> Rename Nodes コマンドを使用することで、強力なパターンマッチングを使用してノードの名前を一括変更することができます。

・ノード検索のオプションが増えました。

・マウス中ボタンクリックで表示される情報ウィンドウに、ノードによって追加、削除、または(オプションで)変更されたアトリビュートが表示されるようになりました。 情報ウィンドウでアトリビュート名をクリックすると、アトリビュートのビジュアライザーを作成できます。

 

パラメータエディタ

・パラメータの検索とフィルタインタフェースのオプションが増えました。

・カラーエディタで、16進数を使用して色を指定できるようになりました。

 

Python scripting (HOM)

・これまでC++ HDKでしか行えなかったビューポートのカスタマイズをPythonで行うための新しいフレームワークを搭載しました。

 

コマンドライン

・起動時に -desktopオプションを使用すると、Houdiniを起動するパネルレイアウトを指定できます。これは、保存されたデスクトップ設定を変更しない1回限りのオーバーライドです。

>houdini -desktop Animate

・起動時に-core、-force-fx-licenseオプションを使用すると、Houdiniが使用するライセンスの種類を指定できます。

 

新機能完全リスト

Houdini17新規/改良ノードリストはこちら

Project Vellum

・クロス、ヘア、ソフトボディ、粒子 (grain) の統合高速ソルバ

・GPU及びOpenCL による高速化

・サブステップ非依存のstiffness (固さ) 設定を備えたXPBDに基づいたソルバ

・容易なセットアップとコントロール

・クロスシミュレーションのマルチレイヤー化

・クロスパネルとドレープ(裁断)ワークフロー

・縫合、ブランチ、引き裂きなどのダイナミックコンストレイント

・アニソトロピーアトリビュート

・プラスチックのような(可塑性を持つ)変形

・圧力、ストラットおよび四面体をベースにしたソフトボディ

・便利なオートスリープ機能

・組み込みHDAを介したSOPレベルのアクセス

・アーティスト向けの手早い設定を行うためのシェルフツール

・強力なビジュアライズオプション

 

Fluids/Pyro

・PyroソースがvolumeではなくPointに基づくようになりました。

 これはパーティクルシミュレーションの結果を煙の発生源として使用する場合など、多くの場合においてPyroシミュレーションの生成を強化します。ポイントアトリビュートを編集、アニメーションするのはボリュームの編集より簡単です。

・ソースポイントからボリュームを生成する際に、VDBが使用されるようになり、シミュレーションが40倍以上高速になりました。

・新しいボリュームソースボリュームをインポートするためのDOPは、既存のものより遥かに明確なインターフェイスを備えています。

・whitewater ソルバの完全書き換え

・パーティクル/ OpenVDBを利用したPyroソース

・OpenVDBを利用したFLIPソース

・SOPでのPyroセットアップのワークフローの段階化

・専用のRetime SOP

・PyroにColor Advection機能の追加

・新しいPoint Velocity SOP

・並列計算によりNarrow Bandが4倍高速化

・Narrow Bandの川とカスタムフィールドのサポート

 

破壊ツール/  RBD

・高密度でスケーリング可能なマテリアルごとの破砕のフレームワーク

・自動生成異種間コンストレイントシステム

・コンクリート、木材、ガラスのためのプロシージャル破砕パターニング

・ 新しいRBD Convex Proxyシェルフツールを使用した物体の凸型分解

・ソフトコンストレイント

・グルーコンストレイントの3倍高速化

・コンストレイント設定メカニズムの改良

・新しいボロノイによる破砕(ボロノイ2.0)

・Boolean SOPに基づく新しいBoolean Fractureツール

 

Interactive modelling and viewport

・高度なアライメントツールセット

・ローカル空間での複数オブジェクトの移動と回転

・TopoBuildを元にしたPyroDrawツールによるフリーハンドでのトポロジー作成

・TopoBuildツールとEditツールの拡張

・インタラクティブなハンドルを持つ構成平面

・カメラのブックマークと構成平面のブックマークの表示

・ラダーウィジェットによる直感的な回転値の設定

・ユーザー定義の角度によるハンドルの回転

・ハンドルによる回転および平行移動の数値を表示

・視認性向上のための3Dスケールハンドルの再設計

・ピボット操作の改良

・重要なツールへのアクセス性向上のための固定キーの追加

・バックフェイスポリゴンの着色オプション

 

プロシージャルモデリング / SOP

・Retime SOP

・Falloff SOP

・Attribute Noise SOP

・Winding Number SOP

・Triangulate 2D 2.0 SOP(高精度化、高品質出力とシルエット抽出)

・BlendShape 2.0のクオータニオン対応など

・Trace SOP の改良

・Sweep 2.0

・verified / compilable に関するSOPの追加

・スナッピングとオリエンテーションの高速化

・コンストラクションプレーンのサポート

・SOP内でのレイ交差のための高速BVHアルゴリズム

・Group Create SOP における頂点グループのサポート

 

Terrain(地形)

・写実的な水や熱による侵食

・高精度のデブリ算出

・Heightfield distortion の改良

・より堅牢化された単一散乱

・衝突に対応した階層的な散乱

・Heightfield Distort by Layer SOP

・侵食を生み出すのに必要なフレーム数の削減

・侵食が種類ごとに個々のノードに分割

  HeightField Erode Hydro(水の流れによる浸食)

  HeightField Erode Precipitation(降水による浸食)

  HeightField Erode Thermal(熱による浸食)

 

UV ワークフロー

・理想的なUVカットラインを検出するヒューリスティックUV AutoSeam SOP

・高精度化、アイランドマッチングなどが追加、再設計されたUV Layout SOP

・四辺形直線機能を追加した、再設計されたUV Flatten SOP

・2Dアイランドにおける3Dジオメトリの効率的なパッキング

・UV transform SOPの倍速化

・豊富なビジュアライズオプションセット

 

キャラクターアニメーションとリギング

・タイムライン/再生バーの改変による基本的なアニメーションツールへのアクセス改良

・ポーズスペースデフォメーションツールセット

・新フェィシャルオートリグとオートリグツールセットの改良

・フルボディIKソルバと専用ポーズツールによるハンドル

・チャネル編集ワークフローの簡略化

・ノードパラメータボックスのカラーコード化によるチャネルのハイライト

・アニメーションエディタGUI の簡略化とチャネルリストの統計情報表示

・Bone Deform SOP のデフォメーション大幅高速化

・ポーズライブラリとキャラクタピッカーの改良

 

群衆

・フルボディIK及びそのVEX関数のサポート

・Vellumクロス、ヘアー、ソフトボディなどの二次派生FXのサポート

・スムーズなクリップブレンドとトランジション

・Agent Unpack SOP

・Agent Clip SOP 2.0

・ワークフローの改良

・圧縮されたbclipファイル(.bclip.sc)のサポート

 

ヘアーとGrooming

・グルーミングパフォーマンスの大幅な高速化(4-10倍)

・ヘアー生成の大幅な高速化

・再帰的サブクランピング

・Vellumヘアソルバー統合による高速なシミュレーションセットアップ

・ゲーム開発向けヘアカードの生成

 

Houdini Engine

・新しい3DS Maxプラグイン

・地形をネイティブサポートした再設計されたUnityプラグイン

・UE4およびMayaプラグインの機能拡張

・その他数多くのパフォーマンスの最適化

 

GameDev

・フラットなジオメトリ、または階層ジオメトリでのGLTFインポートおよびエクスポート

・Github上にある豊富なGame Devツールと専用のHoudiniツールシェルフ

・多種にわたるFBXサポートの改良

・ベークテクスチャによるジオメトリのヘアカードのエクスポート

 

レンダリングとデータ I/O

・MantraバッチでのIPR用のNVIDIA Optix AIデノイサのサポート

・ライトパスエクスプレッション

 基準とのパターンマッチングにおけるorigin、bounce type、destinationなどのパラメータの貢献度の指定

・アクセラレーションモーションブラー

 加速度を測定するポイントアトリビュート(accel)がある場合、オブジェクトごとにアクセラレーションモーションブラーを適用することができます(Geometry object-> Render tab ->Sampling sub-tab からジオメトリモーションブラーを「アクセラレーションブラー」に設定)。

・新しいPBR SSSサンプリングによる影の部分での高速収束

・パックされたプリミティブをレンダリングするときのメモリ占有量の大幅削減

・複数のGIライトを同時にサポート

・Bake Texture ROPの拡張

・熱、密度、温度に対するPyroシェーダのサポート

・Deep EXRのためのデータウィンドウのサポート

・Alembicレイヤー、その他

・OpenColorIOの強化

・HQueueの改良

・ファーム上でのライセンスとカスタムリソースのトラッキング

・IFD作成が複数のマシンで実行可能(H16.5以前は1台しか使用されませんでした)

・HQueue Render ROPでのNew Render Retriesオプション

・HoudiniヘルプからHQueueのヘルプが参照可能に

・一つのマシンで複数のHQueueクライアントを実行可能

・クライアントグループの編集、ファーム上でいくつジョブがあるか問い合わせ、クライアントの終了等を行うPython APIの新しいメソッド

・クライアントテーブルでの新しい説明用のフィールド

 

User experience

・ビューポートカスタマイズに対応したPythonフレームワーク

・ノード情報ダイアログに詳細なアトリビュート情報の表示

・パラメータダイアログで隠れて見えないパラメータの検索能力の向上

・カラーエディタでのカラーHEXフォーマット(16進数表記)のサポート

・ -desktop、-core、および-force-fx-licenseなどの追加のライセンスオプション

 

VEX & VOPs

・Unified Noise VOPの強化

・周期的なノイズのサポート:シンプレックス、値、パーリンフローノイズ等の派生

・64ビットVEX

・AVX(Advanced Vector Extensions)によるVEXのアクセラレート